歩くのが良い理由はこれ!足を動かしているお腹を意識できる方法

ウォーキングブームは未だに衰える気配を見せません。それだけ現代人は健康に対する関心が高いのでしょう。テレビの特集でも歩くことが健康にどれほど有効かを説いています。

太極拳を教えてる者の一人としては、足だけで歩くのが大人の歩き方に大きな違和感を覚えます。それは腸腰筋などのインナーマッスル群の多くは、お腹と足とを結びつけているからです。

急に歩き出したり、走り出したりするとお腹が痛くなったりした経験を持つ人も少なくないと思いますが、このような現象は実はインナーマッスルと深い関係にあるのではないでしょうか。

立ったばかりの幼児が歩く姿を想像してみましょう。彼らは歩くための筋肉を十分に発達させていない段階で歩こうとします。歩くことなく、歩くための筋肉は発達しないのですから当たり前です。

彼らを見ていると、その様子は滑稽でもあり、愛らしくもあります。そして身体全体を使って歩こうとするのが幼児の歩行だと気づかされます。彼らは全身を揺すりながら歩きます。

私たち大人が幼児のまねをしようというのが、今回の趣旨ではありませんが、骨格筋を使わずに歩くというイメージを利用することが可能です。ここで私たちには丹田を使って身体をコントロールすることが目標になります。

陰陽の転換運動によって丹田を養い育てられます。なぜなら丹田は動くことで成長するからです。どうすれば足と丹田との連携する感覚を思い出せるかというと、次のような手順で簡単にできます。

まず、布団の上に仰向けに横になります。このとき手足は閉じた状態にして静かにします。そして寝返りを打ってみましょう。特に工夫をせずにやってみて、自分の身体の使い方をよく観察してみてください。

寝返りをするのに両腕を使って寝返りを打っていたなら、それは大人の寝返りです。今度は両腕を使わないで寝返りを打てるか試してみましょう。そのために、両手を上に上げたまま寝返りを打ってみます。

具体的には、膝をお腹の前まで引き上げてから、足を伸ばす力で寝返りを打ちます。身体を横たえたまま、足を引き上げてから伸ばすという運動をするときに、人間はお腹の中の筋肉、インナーマッスルを使用します。

手を使わない寝返りの感覚が理解できたら、足を引き上げないで、お腹に意識を留めたまま寝返りを打つ練習をします。今度は少し難しいかも知れません。でも、怪我することはないので安心ですね。

しばらくやっていると丹田での寝返りの感覚をしっかりと覚えられます。反動を使うのではなく、お腹を左右に捻る力を使う感覚を見つけ出してください。

そこまでできたら、歩くときに丹田に意識を保って歩いてみることにしましょう。丹田が上下左右に動いているのが感覚できるはずです。これは足を動かすと丹田が刺激を受けているということを自覚的に意識できているのです。

これで丹田で足を運ぶ運動が可能になるはずです。最後に丹田を動かして足を前後に動かして歩いてみます。少し違和感があるかも知れませんが、丹田で身体を操作する最初の段階に上ることができました。

生命の原理は運動にあると以前にも申しました。古代の生命観の中心にあるのは動くことです。太極は静止していません。よく見かける陰陽図は動きませんが、実際の太極は巡り続けます。陰陽がお互いに転換しながら動いています。反発力と引力のバランスが陰陽を保っています。

丹田を意識して歩くことは、太極の陰陽転換を促し、丹田全体を養うことになります。動く太極の運動を促すと丹田全体の運動を誘引して丹前全体に気が満ちて身体が充実してくるのが実感できるでしょう。