先端生命科学も発見した!丹田は生命力を宿すお腹の中にあった

太極拳は東洋の技芸の1つなので、東洋思想に裏付けられた用語を用います。ヨガなどの用語にチャクラという概念があって、彼らはそれをエネルギーセンターと説明するようですが、中国思想の枠組みでもよく似ています。

そこで太極拳の丹田は何が違うのかと質問を受けることがありますが、概念そのものは同じといってもよいほど似ていますが、数と場所が異なっており、チャクラの数が圧倒的に多く、またそれぞれが小さいもののように描かれます。

太極拳が用いる丹田はそれほど多くなく、上中下の3つです。これは天人地にそれぞれが応答しています。ただそれぞれが全く独立したものではなく、それぞれの丹田に他の丹田の要素を見いだすことで関係づけられます。

ですから太極拳や仙道では中丹田を主に養います。中丹田が充実した後、上丹田の鍛錬に移ります。この手順を不適当に済ませて、上丹田や下丹田の鍛錬に手を出すと、問題を生じてしまいます。

そこで中丹田ですが、日本語で説明すれば、お腹の中心部分を指す言葉です。顔や胴体などと同様、構造全体に対して名付けられた名前なので、特定の部分で置き換えることはできません。

丹田、つまりお腹が人間の生命の根幹になっています。最新の医学が再発見したのは、一番最初に形作られるのは胎児のお腹だという事実です。

なぜ、頭よりも先にお腹が形成されるのかについて最新医学でも答えることはできていませんが、東洋思想は丹田が生命維持にとって重要なパーツだからだと考えます。

お腹は大脳から独立して活動しています。生命維持に関わる食事による栄養吸収、あるいは排泄機能のコントロールは大脳ではなく、大腸などが中心になっている神経ネットワークが決定しているそうです。

むろん、お腹が脳から断絶して身体を支配しているのではありません。それぞれがネットワークで結ばれており、相互に情報をやりとりして身体を支配しています。

このようなネットワークによって他に繋がっておりながら、独立した働きを持つまとまりが丹田の正体です。もっとざっくりと考えれば、横隔膜内に治まっている範囲を中丹田といいます。

さて健康と若さをコントロールしているのは中丹田(お腹)と考えられます。中丹田には先天気と呼ばれる気を親からもらっているのですが、これは年齢を重ねることで失われていきます。

経験的に知られている事実としては歳を重ねると苦労の記憶が優位になります。もともと幸福な記憶を保持するより困難の記憶がたやすくなっています。これは生命の生存に関わる記憶によって危険を回避するためです。

お腹がセロトニンを作り出すから幸福感を持つと分かりました。体内のセロトニンのほぼすべてがお腹で産生します。お腹の調子が気分に大きく影響しているのは、毎日の自分の感情を観察することで気づけます。

中丹田を養うことで、幸福感が増大する理由はこれです。メディテーションでも同じように幸福感が増大します。それはメディテーションが脳活動を低下させることで、お腹の働きを優位にしている結果です。

栄養の吸収と排便は肌の状態と大きく関わっています。便秘気味だと吹き出物に困る経験があるでしょうし、お腹が渋るときに思考能力はふるいません。中丹田の調子はお肌や思考能力にすら影響を与えているのです。

お腹の働きで身体を若返らせるために、食事と運動がポイントになり、丹田を養うのにも食事のケアと太極拳がふさわしいです。伝統の太極拳は丹田に刺激を入れながら、全身に気を巡らせることを目的にして編集されているからです。

中丹田を養うことで若さと余裕を取り戻すことが可能であり、同時に動作のバランスを向上する結果を得ます。