身体の働きに注目するから?内家拳は内功がすべてだという結論になる

中国拳法で普通に用いられる用語で一番理解が困難だと思われるのは「内功」という言葉でしょう。内功は場合によっては精神論のように聞こえることもあり、そのように勘違いしている人も少なからずいるようですが、内功は旧日本式の根性論とは違います。

確実な効果を求める中国では、根性論ではなく、むしろ効果と結びついた技術の物理的ではない部分を指す用語です。

内功という言葉は単純な何かを意味するのではなく、その内容はいくつかの意味で用いられるのが特徴です。この辺りの事情は言語に対する意味の区切りが文化に依存しているのが原因でしょう。

身体メカニズムに基づいたテクニックがもっともわかりやすい内功だといえます。いろいろな形の使い方の説明をするときにも内功という言葉を用いるのです。

そしてその内功には共通した意味を見いだすことができます。それらが内功を重要視したときの身体操作のコツになっていると考えられます。

身体を無理な方向に曲げないと言われればそれまでのように思ってしまいますが、意外と普段の生活では関節を不自然な方向に曲げようとしているものです。もっともはっきりと不都合が出るのは腰の使い方と膝の使い方です。

関節はそれぞれ動かせる方向があります。腰の関節は「臼関節」であって、回転はしますが、曲げることはできません。しかし、あまりにも無警戒に腰を曲げてしまっているようです。

もう一つ目立つのは膝の関節です。膝は横方向には曲がりません。若干の遊びが関節にあるので、それを曲がっていると勘違いしているのでしょうか。あるいはそれがかっこうよいとでも言うように堂々と曲げて歩いている人を見るととても気の毒に思えます。

これらの関節は軟骨が十分ある間は、それをすり減らして頑張ってくれます。しかし、その頑張りが尽きてしまうと途端に痛みを発して警告を始めます。足裏の疲れが決定打になりでもしたら、途端に身動きできない痛みに襲われるでしょう。

内功は身体を支えるための構造に基づいた動作が大切だと教えています。腰は左右に回すときによく働き、自らを正しい形に整形する働きを始めます。つまり正しい動きは補修機能を活性するわけですね。

かがむときは腰ではなく、股関節を使って姿勢を作るのが身体の構造的に正しいといえます。これらのコツを踏まえた身体操作は思いがけない事故から身体を守るという役割を期待できるでしょう。怪我をしてたとえ数日でも動けなくなることは老化に直結するので、身体を事故から守るのはとても大切です。

熟練度による強さも内功です。身体操作を上手にできるのは、身体の動きが滑らかに見せます。その結果、見た目の若さに繋がります。ですから、理解しただけでなく、実際に身体操作を繰り返し練習するのは大切なのです。

手慣れた職人のような動きを目指すと言えば、わかりやすいでしょう。無駄な力が入っておらず、無駄な動きもなく、ある種の美しさを持っているのを想像できると思います。これがとても大切です。

身体を無意識に使わないというのも大切なポイントです。注意したいのは反動を使わないという決意でしょう。反動を使うと大きな力を出したように思えますが、それは自分の身体にも大きな負担を掛けています。なので事故の原因の一つになります。

内気力はイメージに身体が従う力を意味します。もっとも分かりづらいかも知れませんが。潜在している身体の力を思い出すことで獲得できます。

赤ん坊は手を使わずに寝返りを打つのをご存じでしょうか。そのような力は忘れられているだけで、今でも私たちの中に残っています。これを使うことで新たな力を獲得したのと同様の効果を得られます。